信用格付は、決算数値による定量評価を基礎としつつ、経営者の資質、事業の将来性、情報開示の姿勢、取引状況等の定性面を加味して最終的に決定されます。定量評価は決算後にしか動かせませんが、定性評価は今日から動かせます。
決算書(貸借対照表・損益計算書)/勘定科目内訳明細書/借入金一覧表・返済予定表/保険の解約返戻金証明書などのPDFまたは写真を添付し、「読み取り開始」を押してください。3期分の決算書があれば趨勢分析まで自動で埋まります。読み取れた欄は緑、確認・手入力が必要な欄は黄色で表示されます。
| 会社名 | 代表者名 | ||
|---|---|---|---|
| 業種 | 決算月 | ||
| 業歴/従業員数 | 年 / 人 | 法人の実効税率 | % |
| 現在の格付(判明している場合) | 目標とする格付 | ||
| 事務所名/担当者 | |||
| 担当者の一言 | |||
| 資産の部 | 負債・純資産の部 | ||
|---|---|---|---|
| 現金及び預金 | 買掛金・支払手形 | ||
| 売掛金・受取手形 | 短期借入金(1年内返済含む) | ||
| 棚卸資産 | その他の流動負債 | ||
| その他の流動資産 | 長期借入金 | ||
| 土地 | 役員借入金 | ||
| 建物・構築物 | その他の固定負債 | ||
| 機械・車両・器具備品 | 資本金 | ||
| 保険積立金 | 利益剰余金等(差額) | ― | |
| 投資有価証券 | 純資産合計 | ― | |
| ゴルフ会員権等 | 負債・純資産合計 | ― | |
| 役員貸付金・仮払金 | 自己資本比率(表面) | ― | |
| 繰延資産・その他固定資産 | 有利子負債合計 | ― | |
| 資産合計 | ― | 負債合計 | ― |
| 項目 | 前々期 | 前期 | 直近期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | |||
| 売上総利益 | |||
| 営業利益 | |||
| 経常利益 | |||
| 当期純利益 | |||
| 減価償却費 | |||
| 支払利息 | |||
| 総資産 | ― | ||
| 純資産 | ― | ||
| 有利子負債 | ― |
| 年間の借入元金返済額 | 万円 | 繰越欠損金 | 万円 |
|---|---|---|---|
| 変動費率 | % | 役員報酬(年額・代表者) | 万円 |
| マイナス項目(開示の有無にかかわらず金融機関は控除します) | |||
|---|---|---|---|
| 役員貸付金・仮払金の資産性 | % | 回収不能見込の売掛金 | 万円 |
| 滞留在庫の評価減額 | 万円 | 減価償却の不足額 | 万円 |
| 繰延資産等のうち資産性のない額 | 万円 | 退職給付債務の未計上額 | 万円 |
| 関係会社株式・貸付金の評価減 | 万円 | 簿外債務 | 万円 |
| プラス項目(開示してはじめて評価に反映されます) | |||
| 土地の時価(総額) | 万円 | 保険の解約返戻金(総額) | 万円 |
| 投資有価証券の時価 | 万円 | ゴルフ会員権等の時価 | 万円 |
| 建物の含み損益 | 万円 | その他の修正(+/−) | 万円 |
含み損は金融機関が保守的に自ら見積もって控除しますが、含み益は資料を提示しなければ評価されません。この非対称性が、実態貸借対照表を開示すべき最大の理由です。
| 金融機関名 | 区分 | 借入残高 | うち保証協会付 | 金利(%) | 担保評価額 | 年間返済額 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 信用保証協会の保証限度枠(無担保) | 万円 | 当座貸越枠(設定額) | 万円 |
|---|---|---|---|
| 代表者の個人資産(不動産・金融資産) | 万円 | 経営者保証の有無 |
| 含み益の開示 | |||
|---|---|---|---|
| 役員借入金の資本性認定 | |||
| 開示する含み益の合計(自動) | ― | 開示の方法 | |
含み損は金融機関が自ら控除しますが、含み益は資料の提示がなければ評価されません。費用をかけずに実質自己資本を厚く見せられる、最も効率のよい施策です。
| 役員貸付金・仮払金の解消額 | 万円 | 解消の方法 | |
|---|---|---|---|
| 不良債権の貸倒処理額 | 万円 | 滞留在庫の処分額 | 万円 |
| 在庫処分による回収率 | % | 雑勘定(仮払金等)の整理額 | 万円 |
金融機関は決算書本体より先に勘定科目内訳明細書を読みます。役員貸付金・仮払金・長期滞留債権は、そこで真っ先に目に留まる科目です。
| 限界利益率の改善 | pt | 固定費の削減(年額) | 万円 |
|---|---|---|---|
| 不採算取引の整理(売上の減少) | 万円 | その取引の限界利益率 | % |
| 役員報酬の適正化(減額分) | 万円 | 改善策の区分 |
格付の配点では、収益性そのものより「償却前営業利益が黒字か」「債務償還年数が何年か」という返済能力の比重が大きくなります。利益の絶対額よりも、返済原資としての安定性が問われます。
| 遊休資産の売却額/簿価 | / 万円 | 対象資産 | |
|---|---|---|---|
| 金融資産の処分額/簿価 | / 万円 | 対象 | |
| 余剰現預金からの繰上返済額 | 万円 | 売却代金の返済充当率 | % |
債務償還年数は返済能力の配点のなかで最も比重が大きい指標です。分子(有利子負債−現預金)を減らすか、分母(簡易キャッシュフロー)を増やすかの二択になります。
| 短期継続融資(当座貸越等)への振替額 | 万円 | 設定する枠の種類 | |
|---|---|---|---|
| 証書貸付の返済期間の延長 | 年 → 年 | 対象となる証書貸付の残高 | 万円 |
| 金利の見直し | % → % | 設備資金の期間の適正化 |
所要運転資金は、本来は分割返済のない短期継続融資で調達すべき資金です。これを毎月返済のある証書貸付で賄うと、返済のために新たな借入を要する構造になり、債務償還年数が悪化します。
| メイン行の目標シェア | % | 取引行数の見直し | 行 → 行 |
|---|---|---|---|
| プロパー資金への切替額 | 万円 | 切替による金利の変化 | pt 上昇 |
| 保証料の削減(年額・自動) | ― | 新規取引先の開拓 |
保証協会付きの借入ばかりでは、金融機関は自らの信用リスクを取っていないため、企業を深く見る動機が生まれません。プロパー資金の比率は、金融機関からの評価そのものを映す指標です。
| 解放を求める担保の評価額 | 万円 | 担保の種類 | |
|---|---|---|---|
| 保証協会枠の温存目標 | 万円 | 根抵当権の極度額の見直し | |
| 代表者名義の担保提供資産 | 万円 | 解放の優先順位 |
担保は一度差し入れると、借入が減っても自動では戻りません。過剰担保の状態は、他行からの新規調達の余地を狭め、結果として交渉力を弱めます。
| 増資額 | 万円 | 資本準備金への組入率 | % |
|---|---|---|---|
| 役員借入金の資本振替額(DES) | 万円 | 引受人 | |
| 資本性劣後ローンへの転換額 | 万円 | 期間/当初金利 | 年 / % |
| 従前の借入金利(DDS対象分) | % | 年間の内部留保額 | 万円 |
資本性劣後ローンは、契約上は借入金でありながら査定上は自己資本とみなされます。自己資本比率と債務償還年数の双方に同時に効くため、格付への影響が最も大きい施策です。
| 計画期間 | 年 | 計画の水準 | |
|---|---|---|---|
| 売上高の年成長率/固定費削減(年) | % / 万円 | 設備投資(年額) | 万円 |
| 報告の頻度 | 外部専門家の関与 |
計画の存在そのものが定性評価の加点要素です。加えて、実現可能性の高い計画があると認められる場合には、債務者区分の判定において有利に取り扱われる余地があります。
| 月次決算の早期化 | 試算表の提出 | ||
|---|---|---|---|
| 決算報告の面談 | 後継者の明確化 | ||
| 法人と個人の資金の分離 | 事業計画・経営方針の文書化 |
定量評価は決算後にしか動かせませんが、定性評価は今日から動かせます。とりわけ情報開示の姿勢は、金融機関が最も重く見る項目のひとつです。
―
金融機関の信用格付は、決算書の数値による定量評価を基礎とし、経営者の資質・事業の将来性・情報開示の姿勢等の定性評価を加減して算定されます。さらに、実態貸借対照表への修正、債務者区分の判定、保全状況の確認という過程を経て、最終的な与信判断に至ります。
配点・区分は金融機関ごとに異なります。本書は一般に用いられる指標群に基づく簡易モデルによる試算です。
| Ⓐ 決算純資産+修正合計/Ⓑ 実態純資産 | ― | ― |
―
債務者区分は、業況・財務内容・返済能力に基づき、正常先/要注意先(うち要管理先)/破綻懸念先/実質破綻先/破綻先に区分されます。実質債務超過であっても、解消年数が概ね5年以内であり、かつ実現可能性の高い経営改善計画があると認められる場合には、上位の区分として取り扱われる余地があります。
金利水準・調達余力は、金融機関の資金調達コスト、担保・保証の状況、取引実績等により個別に決まります。上表は一般的な傾向を示す目安です。
定量評価に効く施策と定性評価に効く施策があります。定量は決算を経て反映されますが、定性は着手した時点から評価に反映されます。
計画未達時に格付がどう変化するかを示しています。金融機関との協議では、下振れ時の耐性を説明できることが信頼につながります。
―
「次の配点に必要な水準」は、その指標で1段階上の得点を得るために必要な値です。現状の値からの距離が小さい項目ほど、少ない努力で得点が上がります。
各行は、他の条件を一定として、その項目だけで目標水準に到達するために必要な金額を示しています。実際には複数を組み合わせることになります。
―
| Ⓐ 金融機関別残高の合計/Ⓑ 短期借入金+長期借入金 | ― | ― |
信用保証協会の保証は、無担保保証と有担保保証で限度額が定められています。枠を使い切った状態では、不測の資金需要に対応する余地がなくなります。
金利は格付・保全・取引実績により決まります。格付の改善は、調達の可否だけでなく金利水準にも影響します。
―
根抵当権の極度額は、借入残高が減っても自動では下がりません。担保余力が他行への担保提供に使えない状態が続くと、調達の選択肢が狭まります。
経営者保証に関するガイドラインは法的な拘束力を持つものではありませんが、金融機関は自主的に尊重・遵守することが期待されています。3要件の充足状況は、保証の解除・非徴求を求める際の実務上の判断材料となります。
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6つの指標は、売上持続性・収益性・生産性・健全性・効率性・安全性の各側面を代表するものとして一般に用いられます。
決算書に表れない強みを言語化することが、事業性評価に基づく融資を受けるための出発点になります。空欄は面談前にご記入ください。
| Ⓐ 資産増減/Ⓑ 負債・純資産増減 | ― | ― |
| Ⓐ 資産増減/Ⓑ 負債・純資産増減 | ― | ― |
| Ⓐ 資産増減/Ⓑ 負債・純資産増減 | ― | ― |
| Ⓐ 資産増減/Ⓑ 負債・純資産増減 | ― | ― |
| Ⓐ 資産増減/Ⓑ 負債・純資産増減 | ― | ― |
| Ⓐ 資産増減/Ⓑ 負債・純資産増減 | ― | ― |
| Ⓐ 資産増減/Ⓑ 負債・純資産増減 | ― | ― |
| Ⓐ 資産増減/Ⓑ 負債・純資産増減 | ― | ― |
| Ⓐ 資産増減/Ⓑ 負債・純資産増減 | ― | ― |
| Ⓐ 資産増減/Ⓑ 負債・純資産増減 | ― | ― |
| Ⓐ 資産合計/Ⓑ 負債・純資産合計 | ― | ― |
| Ⓐ 各項目の配点合計/Ⓑ 100点 | ― | ― |
| Ⓐ 各項目の配点合計/Ⓑ 100点 | ― | ― |
| Ⓐ 金融機関別合計/Ⓑ 有利子負債 | ― | ― |
| Ⓐ 保全+信用/Ⓑ 有利子負債 | ― | ― |
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金融機関は、決算書をそのまま受け取るのではなく、資産の実在性と時価を確かめて純資産を計算し直したうえで、安全性・収益性・返済能力・成長性の各指標を採点します。ここに経営者の資質や情報開示の姿勢といった定性面の評価を加減して、信用格付が決まります。
重要なのは、この過程の多くが企業側からは見えないことです。含み益のある資産や、返済を求めていない役員借入金は、こちらから資料を示さなければ評価に反映されません。逆に、含み損や回収の見込みがない債権は、金融機関が保守的に自ら控除します。この非対称性を踏まえ、伝えるべきことを伝えることが第一歩になります。
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月別の詳細は別紙「実行ロードマップ」のとおりです。定性面の施策は今月からでも着手できます。
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□ 実態貸借対照表の開示は、含み益の裏付資料(解約返戻金額証明書・査定書・残高報告書)を必ず添える
□ 役員借入金の資本性を主張する場合、返済を求めない旨の確認書を提出し、実際に返済を行わない
□ 貸倒損失・評価損は、法人税基本通達の区分に応じた証憑を保存する
□ 遊休資産の売却が同族関係者に対するものである場合、時価の根拠資料を必ず備える
□ 短期継続融資への振替は、所要運転資金の範囲内で行い、資金使途を明確にする
□ プロパー資金への切替は金利が上がる場合がある。保証料と金利の総額で比較する
□ 保証協会の枠を使い切らないよう、借換時に枠の残高を確認する
□ 担保の解放は、借入残高が十分に減少した段階で、資料を添えて申し入れる
□ 資本性劣後ローンは全取引金融機関の理解が前提となる。メイン行との事前協議から始める
□ 増資は資本金1億円超とならないよう資本準備金への組入れを検討する
□ 経営改善計画は、策定より進捗の報告が重要。四半期ごとの報告を継続する
□ 月次試算表は、金額の正確性より提出の継続性が評価される
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本書は設例を含む概算試算に基づくご提案であり、個別の税務判断を行うものではありません。信用格付・債務者区分は各金融機関の内部基準により決定されるため、本書の試算と実際の評価は異なります。
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各施策について、概要・格付への効果・実務上の取扱い・実行手順・必要書類・留意点・面談トークを整理しています。記載は一般的な取扱いの整理であり、個別の事案については必ず事実関係を確認のうえ判断してください。
決算書の資産について、回収可能性と時価を評価し直した貸借対照表を自ら作成し、金融機関に提示する施策です。金融機関は独自に実態評価を行いますが、その過程は企業側からは見えず、含み益のように資料がなければ把握できない項目は評価に反映されません。
費用をほとんど要さずに実質自己資本を厚く評価してもらえる、最も効率のよい施策です。とりわけ保険積立金の解約返戻金は決算書に一切現れないため、証明書を提示するだけで実態純資産が大きく変わることがあります。また、代表者からの借入金について返済を求めない旨を明らかにすれば、実質的な自己資本として評価される余地が生まれます。評価の非対称性(含み損は金融機関が自ら控除するが、含み益は提示しなければ評価されない)を踏まえると、開示しないことは一方的に不利な状態を放置していることになります。
役員貸付金・仮払金、回収の見込がない売掛金、長期滞留在庫といった、金融機関の評価上ほぼ価値が認められない資産を整理し、決算書から落とす施策です。
金融機関は決算書本体より先に勘定科目内訳明細書を読みます。役員貸付金・仮払金・長期滞留債権は、そこで真っ先に目に留まる科目であり、その存在自体が「法人と個人の資金が分離されていない」「管理が行き届いていない」という定性面の減点にもつながります。実態評価では既に控除されているため、処理を行っても実質自己資本は減らず、むしろ損金算入による節税分だけ改善します。決算書の見え方と定性評価の双方に効く施策です。
限界利益率の改善、固定費の削減、不採算取引の整理により、償却前営業利益と経常利益を安定的に確保する施策です。
格付の配点では、収益性そのものより「償却前営業利益が黒字であるか」「債務償還年数が何年か」という返済能力の比重が大きくなります。利益の絶対額よりも、返済原資としての安定性が問われます。簡易キャッシュフローが増えれば債務償還年数の分母が大きくなり、返済能力の配点が直接改善します。あわせてインタレスト・カバレッジ・レシオも改善します。
遊休資産・金融資産の処分と余剰現預金による繰上返済により、有利子負債を圧縮し、債務償還年数を短縮する施策です。
債務償還年数は、返済能力の配点のなかで最も比重が大きい指標です。(有利子負債−現預金)÷簡易キャッシュフローで算定されるため、分子を減らすか分母を増やすかの二択になります。資産の売却は分子を直接減らすうえ、総資産が圧縮されるため自己資本比率と総資本回転率も同時に改善します。10年を超えているか否かが一つの分岐点とされることが多く、この線を越えられるかどうかが格付を左右します。
所要運転資金を短期継続融資(当座貸越・手形貸付の反復)で調達し、設備資金は耐用年数に見合う期間の証書貸付で調達するという、資金使途と調達手段の対応関係を整える施策です。
恒常的に必要な運転資金を毎月返済のある証書貸付で賄うと、返済のために新たな借入を要する構造となり、資金繰りが慢性的に逼迫します。短期継続融資に振り替えれば元金返済の負担が消え、簡易キャッシュフローに対する返済負担率が大きく改善します。あわせて資金使途と調達手段が対応していることは、資金管理ができている企業という定性評価にもつながります。
メイン行を明確にし、取引シェアを適正化し、信用保証協会付き借入からプロパー資金への切替を進めることにより、金融機関との関係を再構築する施策です。
保証協会付きの借入ばかりでは、金融機関は自らの信用リスクを取っていないため、企業を深く見る動機が生まれません。プロパー資金の比率は、金融機関からの評価そのものを映す指標です。またメイン行が不明確なまま多数の金融機関と少額ずつ取引していると、いざという時にどこも主体的に動かない状態を招きます。シェアを整理し、メイン行との関係を深めることが、危機時の対応力につながります。
借入残高の減少に見合わない過剰な担保の解放を求め、根抵当権の極度額を見直し、あわせて経営者保証に関するガイドラインに基づく保証の解除・非徴求を協議する施策です。
担保は一度差し入れると、借入が減っても自動では戻りません。過剰担保の状態は、他行からの新規調達の余地を狭め、結果として交渉力を弱めます。担保余力を回復させることは、格付そのものを上げるわけではありませんが、調達の選択肢を広げ、金利交渉の材料にもなります。経営者保証の解除は、事業承継の障害を取り除くという意味でも重要です。
増資、役員借入金の資本振替(DES)、既存借入の資本性劣後ローンへの転換(DDS)により、査定上の自己資本を厚くする施策です。
自己資本比率とギアリング比率は安全性の配点の中核であり、あわせて債務償還年数にも影響します。とりわけ資本性劣後ローンは、契約上は借入金でありながら査定上は自己資本とみなされ、かつ有利子負債から除外されるため、安全性と返済能力の両方に同時に効きます。格付への影響が最も大きい施策です。期限一括償還のため期中の元金返済負担も消えます。
数値計画とアクションプランからなる経営改善計画書を策定し、四半期ごとに進捗を報告し続ける施策です。
計画の存在そのものが定性評価の加点要素です。加えて、実現可能性の高い計画があると認められる場合には、債務者区分の判定において有利に取り扱われる余地があります。もっとも重要なのは、策定より継続的な報告です。計画と実績の差異を自ら説明できる企業は、業績が計画を下回っている局面でも信頼を維持できます。
月次決算の早期化、試算表の定期提出、決算報告面談の実施、後継者の明確化、法人と個人の資金の分離など、決算数値以外の評価要素を引き上げる施策です。
定量評価は決算後にしか動かせませんが、定性評価は今日から動かせます。金融機関が最も重く見るのは情報開示の姿勢です。求められる前に出す、不利な情報も先に出す、経営者自らが説明する。この3つを実践している企業は、同じ決算内容でも評価が異なります。定性評価は最終格付に対して数段階の調整幅を持つことがあり、決して小さな要素ではありません。
| 格付 | 債務者区分 | 状態 | 金融機関の取扱い |
|---|---|---|---|
| 格付1〜2 | 正常先(上位) | 業況が良好で財務内容にも特段の問題がない先のうち、上位に位置づけられる。 | 最優遇金利の適用、担保・保証の軽減、積極的な提案営業の対象 |
| 格付3〜4 | 正常先 | 業況が良好で財務内容にも特段の問題がない。 | 通常の条件で融資が可能。プロパー資金の取扱いも進む |
| 格付5 | 正常先(下位) | 財務内容に注意すべき点はあるが、返済能力は維持されている。 | 融資は可能だが、条件面での交渉余地は限られる |
| 格付6〜7 | 要注意先 | 財務内容に問題があり、今後の管理に注意を要する。 | 新規融資は慎重。保証協会付が中心となる |
| 格付8 | 要管理先 | 元本または利息の支払が3ヶ月以上延滞、または貸出条件の緩和を行っている。 | 新規融資は原則困難。経営改善計画の策定が前提 |
| 格付9〜10 | 破綻懸念先以下 | 経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗が芳しくない。 | 回収方針。抜本的な再建策が必要 |
格付の段階数・名称・区分の境界は金融機関ごとに異なります。上表は一般的な整理です。
| 着眼点 | 読み取られる内容 |
|---|---|
| 勘定科目内訳明細書 | 決算書本体より先に読まれる。役員貸付金・仮払金・関係会社債権・長期滞留債権はここで把握される。 |
| 現預金と借入金の関係 | 現預金が月商1ヶ月分を大きく下回ると資金繰りへの懸念。逆に借入とほぼ同額の預金があれば実質無借金と評価される。 |
| 売上債権の回転期間 | 業種平均より長い場合、不良債権の混入か押込み販売による売上の水増しが疑われる。 |
| 棚卸資産の回転期間 | 急増した場合、滞留在庫の発生か期末在庫の過大計上(利益の捻出)が疑われる。 |
| 減価償却の状況 | 別表十六で償却不足の有無が確認される。償却不足は実態評価で控除される。 |
| 役員報酬と役員貸付金 | 役員報酬が高額でありながら役員貸付金が増加している場合、実質的な資金流出とみなされる。 |
| 純資産の3期推移 | 利益の蓄積が実際に行われているかを示す。増資や資産売却益によるものかも確認される。 |
| 他行の残高推移 | シェアの変化として注視される。急減している行があれば理由が問われる。 |
| 資金使途と調達手段の対応 | 運転資金を長期の証書貸付で賄っていないか、設備資金の期間が耐用年数に見合っているかが見られる。 |
| 試算表の提出状況 | 求められる前に出しているか、継続しているかが、情報開示の姿勢として評価される。 |
| 経営者の説明能力 | 決算の変化について経営者自身が理由を語れるかどうかが、定性評価に直結する。 |
| 計画と実績の差異説明 | 未達そのものより、原因を把握し対応策を示せるかどうかが信頼を左右する。 |
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 信用格付 | 金融機関が独自の基準により債務者の信用力を段階評価したもの。一般に10段階前後で、定量評価と定性評価から算定される。 |
| 債務者区分 | 債務者の業況・財務内容・返済能力等により、正常先/要注意先(うち要管理先)/破綻懸念先/実質破綻先/破綻先に区分する分類。貸倒引当金の計上率に直結する。 |
| 定量評価 | 決算書の数値から算定される安全性・収益性・返済能力・成長性の各指標による採点。 |
| 定性評価 | 経営者の資質、市場動向、情報開示の姿勢、取引状況等、数値以外の要素による評価。定量評価に加減点される。 |
| 実態貸借対照表 | 決算書の資産について実在性と時価を確かめて評価し直した貸借対照表。格付・債務者区分の出発点となる。 |
| 実質自己資本 | 実態純資産に、返済順位が劣後する役員借入金や資本性借入金を加算した、査定上の自己資本。 |
| 債務償還年数 | (有利子負債−現預金)÷簡易キャッシュフロー。返済能力の配点で最も比重が大きい指標。 |
| 簡易キャッシュフロー | 経常利益×(1−実効税率)+減価償却費。返済原資の目安。 |
| 償却前営業利益 | 営業利益+減価償却費。事業から生み出される資金の源泉であり、黒字か否かが債務者区分の判定要素となる。 |
| 所要運転資金 | 売上債権+棚卸資産−仕入債務。事業を回すために恒常的に必要となる資金。正常運転資金ともいう。 |
| 短期継続融資 | 所要運転資金に対して、期日に一括返済し同額を再度実行することを繰り返す融資形態。元金返済が発生しない。 |
| プロパー融資 | 信用保証協会の保証を付さず、金融機関が自らの信用リスクで行う融資。 |
| 保全 | 担保・保証により債権が回収可能な状態にあること。保全されていない部分を信用部分という。 |
| 根抵当権の極度額 | 根抵当権により担保される債権の上限額。借入残高が減っても自動では下がらない。 |
| 資本性借入金 | 契約上は借入金であるが、長期の期限一括償還・業績連動型金利・法的破綻時の劣後性を備え、査定上は自己資本とみなされるもの。 |
| DDS | デット・デット・スワップ。既存の債権を資本性劣後ローンに転換する手法。 |
| DES | デット・エクイティ・スワップ。債権を現物出資して株式の発行を受け、負債を資本に振り替える手法。 |
| 実抜計画 | 実現可能性の高い抜本的な経営再建計画。概ね3年以内に正常先となる計画であること等が要件とされる。 |
| 合実計画 | 合理的で実現可能性の高い経営改善計画。概ね5年以内(最長10年)に正常先となる計画であること等が要件とされる。 |
| 経営者保証に関するガイドライン | 経営者保証の在り方を示した自主的なルール。法人と経営者の関係の区分・分離、財務基盤の強化、経営の透明性確保の3要件を掲げる。 |
| 事業性評価 | 財務データや担保・保証に必要以上に依存せず、事業の内容や成長可能性を評価して融資判断を行う考え方。 |
| 貸出条件緩和債権 | 金利減免、利息の支払猶予、元本返済猶予等、債務者に有利となる取決めを行った貸出金。該当すると要管理先となる。 |
凡例:■実態BS開示 ■科目整理 ■収益力 ■負債圧縮 ■借入構成 ■取引行 ■保全・保証 ■資本増強 ■改善計画 ■定性評価 ■期限あり
格付は決算書の受領後に見直されるのが通例です。決算後2〜3ヶ月の時期に、実態貸借対照表を含む十分な資料を届けることが最も重要になります。
格付は年1回の見直しですが、その材料は日々蓄積されます。下表の指標を継続的に管理し、四半期ごとに金融機関と共有します。